特殊な条件を乗り越え、録音スタジオを新設
音声・映像コンテンツの制作を手がける株式会社ベストメディア
1977年の創業以来、音声・映像コンテンツの制作を手がけてきた株式会社ベストメディア。2026年7月、30年以上使用してきたオフィスを離れ、同じ八丁堀エリアに新たな録音スタジオを開設しました。
本格的な防音設備を備えたスタジオの移転には、一般的なオフィスとは異なるさまざまな条件が求められます。移転先を見つけるまでの経緯や新しいスタジオへの思いについて、代表取締役・鈴木律雄氏と課長・沼田馨守美氏に伺いました。(以下、敬称略)
PROFILEプロフィール
株式会社ベストメディア
/株式会社Camerium
代表取締役
鈴木 律雄
大学卒業後、プログラマーとして株式会社ベストメディアに入社。約10年間、光学分野や自動車関連のシステム開発に携わった後、営業を兼任。2017年6月に代表取締役へ就任し、2019年に経営を引き継ぐ。2021年、光学分野の事業を分割し、株式会社Cameriumを設立。
音と光、二つの専門分野を展開
―まず、ベストメディアの事業内容について教えてください。
鈴木:ベストメディアでは、ナレーション収録を中心とした録音スタジオの運営や、企業PVをはじめとする音声・映像コンテンツの制作、編集を行っています。また、光学シミュレーションやソフトウェア開発については、2021年に株式会社Cameriumとして分社しました。現在は、音声・映像関連の事業をベストメディア、光学分野の事業をCameriumが担っています。
―ベストメディアのスタジオならではの強みは何でしょうか?
沼田:当社ではBtoBの仕事が多く、お客様がその先にいる大切なお客様をお連れになる機会も少なくありません。そのため、技術だけでなく、「どのような場所でお迎えするか」も大切にしています。
清掃はもちろん、インテリアや植物、絵などにも気を配り、緊張せずに過ごしていただける空間づくりを心がけています。加えて、ミキサーは技術を提供するだけでなく、お迎えするお客様に『どう楽しんでいただくか』を常に考えています。
お客様にはなかなか入っていただく機会のないナレーションブースを体験いただいたり、普段目にされることの少ないであろうスタジオ機材のお話をしたりしながら、「あのスタジオに行って楽しかったね」と言って帰っていただける場所を目指しています。
―Cameriumの事業内容や強みについても教えてください。
鈴木:Cameriumでは、光学分野に特化したソフトウェアの開発・販売や受託開発、照明解析などを行っています。主力製品の「照明Simulator CAD」は、照明器具の配光や照射状況を解析、シミュレーションできるソフトウェアです。ほぼすべてを自社で開発しているため、お客様のご要望を直接伺い、機能のアップデートへ反映できる点が強みです。
八丁堀限定で探した録音スタジオの移転
―今回、オフィスを移転された背景を教えてください。
鈴木:以前入居していたビルの建て替えが決まり、移転が必要になったことがきっかけです。移転の話自体はかなり前からありましたが、途中でコロナ禍を挟んだこともあり、本格的に物件探しを始めたのは2025年7月頃でした。
録音スタジオの移設には大きな費用がかかります。新しい場所に防音設備や収録環境を一からつくる必要があるため、時間をかけて準備を進めました。
―スリーウェーブへ依頼されたきっかけはなんだったのでしょうか。
沼田:最初に相談したのは防音設備専門の施工会社でした。本格的な録音スタジオの防音工事ができる会社は限られているため、まずは新しいスタジオをつくる場合の費用や条件について相談したんです。その会社から、「スタジオ案件に詳しい不動産会社を知っている」と紹介していただいたのが、スリーウェーブの営業担当者さんでした。
―物件を探す上で、特に重視した条件を教えてください。
沼田:絶対に外せなかったのは駅から近いことと、八丁堀を離れないことです。以前のオフィスも八丁堀駅から近く、お客様に便利に利用していただいていました。移転後も変わらずお越しいただくため、「八丁堀」「駅近」という条件は譲れませんでした。
また、スタジオには天井高や床の耐荷重、空調、電気設備など多くの条件があります。外部の騒音が収録品質に影響するため、周辺環境や建物の構造も慎重に見極めなければなりません。
営業担当者さんには、必要な条件を一つひとつ整理しながら物件を選定していただきました。ただでさえスタジオに適したビルは少ない上、八丁堀に限定していたため、かなり難しい条件だったと思います。
―当初は、ベストメディアとCameriumを別々のオフィスにすることも検討されていたそうですね。
鈴木:はい。スタジオと光学事業では必要な設備が異なるため、初めは別々のオフィスに入居することも考えていました。しかし、スタジオに適した物件を一つ見つけるだけでも簡単ではありません。そこで面積の条件を広げ、両社が一緒に入居できる物件を探していただくことにしました。探し方を切り替えたことで、今回の物件に出会うことができました。
―こちらの物件を選ばれた決め手を教えてください。
鈴木:八丁堀駅から近く、スタジオに必要な条件を満たしていたことです。隣にはテナント専用ラウンジもあり、ビルのオーナー様が変わったタイミングで、エントランスやトイレなどもきれいにリニューアルされていました。
沼田:実は最初に見た時点では、この物件が有力候補になるとは思っていませんでした。ビル構造はRC造を理想としていたことに加え、当初はワンフロアの面積も私たちには大きすぎたからです。ところが、ビルのオーナー様が変わって建物が全面的にリニューアルされ、テナント専用ラウンジが新設されたことで、専有部分が両社で使うのにちょうどよい広さになりました。
ビルのオーナー様と管理会社の方々が非常に協力的で、スタジオの工事や設備について親身に話を聞いてくださったことも大きいですね。本格的なスタジオをつくるには、貸主様や管理会社の理解が欠かせません。さまざまな条件とタイミングが重なり、「もうここしかない」と思える物件になりました。
―新しいオフィスに対する反応はいかがですか?
鈴木:以前と比べて建物全体の環境が大きく改善され、とても満足しています。共用部分もきれいに管理され、安心して仕事ができる環境になりました。
沼田:エントランスに足を踏み入れていただいただけでも、建物のグレードの良さは感じていただけるのではないかと思います。自分たちで内装をきれいにすることはできても、建物そのものの印象までは変えられません。大切なお客様を安心してお連れいただける環境が整ったことを、何よりうれしく感じています。
信頼と技術を次の世代へ
―スリーウェーブを利用した感想をお聞かせください。
鈴木:営業担当者さんには本当にお世話になりました。録音スタジオという特殊な案件にもかかわらず、必要な条件をしっかり理解し、物件の選定だけでなく、ビルのオーナー様との交渉まで、きめ細かく対応していただきました。そのおかげで、安心して移転を進めることができました。大変感謝しています。
沼田:私たちに物件をご紹介いただく時点では、すでに条件に合わない物件をふるいにかけてくださっていました。その中から検討できる安心感と、次の段階へ進みやすいことは非常に大きかったと思います。
スタジオづくりでは、最初に入れ物を決める段階が最も重要です。そこで妥協すると、その後の工事や設備にすべて影響します。その最初の段階から営業担当者さんが先頭に立って課題を整理し、道を開いてくださいました。今回の移転が成功した一番の要因は、営業担当者さんに出会えたことだと思っています。
―今後、スリーウェーブでオフィス移転を検討する方に向けてメッセージをお願いします。
鈴木:当社のように録音スタジオを伴う移転は、決して一般的な案件ではありません。それでも業種ごとの事情や必要な条件を理解し、柔軟に対応していただける会社だと感じました。特殊な条件がある企業でも、安心して相談できると思います。
―最後に、今後の展望をお聞かせください。
鈴木:ベストメディアとCameriumのどちらにとっても、次の世代をどう育て、事業をつないでいくかが大きなテーマです。音声収録も光学も専門性の高い分野なので、技術やノウハウをしっかりと引き継いでいきたいと考えています。Cameriumでは、レンズ関連の新しいソフトウェアも開発しています。これまで培ってきた技術の集大成となる製品を、形にして世に出したいと思っています。
沼田:これまで弊社は約50年スタジオ運営を行ってきました。今後も末永く愛していただける場所をご提供できるようにと、新しいスタジオを作りました。これからもお客様との信頼関係を大切にしながら、「ここに来てよかった」「楽しかった」と思っていただけるサービスを増やしていきたいですね。音声収録や編集で培った技術を生かし、より多くのお客様に利用していただける新しいサービスも考えていきたいと思っています。
まとめ
さまざまな条件と人の縁、そして絶妙なタイミングが重なって完成した新しいスタジオ。音声・映像と光学という二つの専門領域で培ってきた技術と信頼を、次の世代へ。新しいスタジオが、ベストメディア様の次の長い歴史を支える場所となることを楽しみにしています。