
株式会社Kingmakerが都心で見つけた奇跡の物件
防護服や養生用品を手がける株式会社Kingmaker。2017年に、千代田区飯田橋にある現在のオフィスへと移転し、近年では「北斗の拳」とのコラボ商品も展開するなどBtoC事業にも挑戦しています。
今回は、代表取締役の櫻井秀敏氏に、事業の原点や移転の舞台裏、そして意外性あふれる人脈についてお話を伺いました(以下、敬称略)。
PROFILEプロフィール
株式会社Kingmaker
代表取締役
櫻井 秀敏
19歳で飲食店を立ち上げた後、建設業に進出。2009年に株式会社SAKURAIを、2015年には株式会社Kingmakerを設立。Art Salvage株式会社代表取締役、ArtStarz株式会社代表取締役CEOも務めるなど、多彩な活躍で話題を集める。
取締役はあのお笑い芸人

― 御社の事業内容を教えてください。
当社では、主にアスベスト除去工事で使用される防護服や除去用品を企画・販売しています。私は建設会社(株式会社SAKURAI)も経営しているのですが、そこで環境配慮型の解体工事を行う中で、安全性と価格のバランスがとれた備品が必要だと感じ、Kingmakerの設立に至りました。
― どのような課題があったのですか?
アスベストは極めて微細で、1リットルの空気中にアスベスト繊維が1本以上含まれていれば「公害」と認定されます。除去する際には隔離養生を行い、セキュリティルームをつくりますが、休憩やトイレでそこを出る度に防護服やマスクを外し、すべて廃棄しなければなりません。無論、それだけ経費も嵩んできます。
作業員の健康を守りながら、価格面でも現場のニーズに応えること。その必要性を感じ、海外のOEM工場と連携して製品を供給しています。
― 御社の取締役には、芸人の千原せいじさんがいらっしゃると伺いました。
はい。私は京都出身で、せいじとは同郷なんです。20年ほど前、私が東京に出てきた頃、売れる前の芸人や役者たちに当社の現場を手伝ってもらうなど、互いに助け合ってきました。そのような付き合いの中で、Kingmakerを創業する際、「自分も仲間に入れてくれ」とせいじから言われ、取締役に迎えることになったんです。
― 「北斗の拳」とのコラボ商品である「百裂エナジー」は、どのようにして生まれたのでしょうか?
せいじは芸人ですから、芸人仲間はもちろん、モデルやアーティストなどさまざまな属性の方々と幅広い交流があります。私も彼らと一緒に遊ぶようになっていったのですが、そのメンバーが偶然にも全員”長男”だったんです。それでせいじが「長男と言えば北斗の拳のラオウやろ」と言い出して、“ラオウ会”と勝手に命名。
その内、「せっかくやし、オフィシャルにしようや」と悪ノリが始まりまして。作者である原先生も呼ぼうということになったんです。
― 実際に原哲夫先生に会えたんですか?
最初はそれこそ冗談だと思っていたんですが、せいじがどこからか伝手を見つけてきて、本当にお会いすることになりました。それが今から11年前のことです。今では先生も“ラオウ会”のメンバーになっています。
― そこからどのようにして、エナジードリンク企画に発展したんですか?
原先生とは今では友人としてお付き合いをしており、先生のアトリエ工事も株式会社SAKURAIで請け負いました。アトリエの創作活動にふさわしい空間となるよう、先生のイメージをもとに設計・施工を行っております。その流れの中で、先生からオファーをいただく形でArt Salvage株式会社、ArtStarz株式会社を設立。
一昨年の9月13日が「北斗の拳」の40周年だったんですが、そのアニバーサリーイヤー企画のひとつとして、私のほうから企業コラボを提案しました。それが、百裂エナジーです。さらに、北斗の拳と吉本新喜劇のコラボ公演もお手伝いさせていただきました。
都心でここまでの好条件はまさに奇跡的

― オフィス移転を検討された経緯を教えてください。
以前は小伝馬町のビルに入居していました。同じビルには当社の事業と親和性の高い企業も入居しており、非常に気に入ってはいたんですが、3階でしたので、荷物の搬出入に不便がありました。駐車場や高速道路へのアクセスなど、他にも課題があったことから、業務効率を考えて移転を決断しました。
― 候補地はどのように探されたのですか?
特にエリアにはこだわらず、墨田区や文京区、荒川区なども含めて幅広く探しました。その中でこちらの物件に出会い、初めて内見した時に「ここしかない」と直感しました。
― 決め手は何だったのでしょうか?
天井が約6メートルと高く、以前入居していたテナントさんが作られた、中二階や荷物用の昇降機がそのまま使える状態だったことです。1階物件で、尚かつ、裏には3台分の駐車スペースも完備。都心でここまでの好条件を備えている物件はまず他にはないと思います。まさに奇跡的でした。
― 実際に入居してみて、使い勝手はいかがですか?
非常に気に入っています。中二階にはたくさんの荷物を置けますし、事務所は風通しもいい。近くにはお気に入りのお蕎麦屋さんもあり、裏手にはエドモントホテルもあるので、食事する場所にも困りません。来客対応や打ち合わせにも便利な立地です。
― 物件探しで苦労された点はありますか?
正直、苦労ばかりです。社員寮を探したりすることもあるんですが、その度に苦労しています。それぐらい不動産というのは難しく、希望の物件と巡り合うのは至難の業です。だからこそ、信頼できる不動産会社が必要なんだと実感しています。
豊富なアイデアと柔軟性を武器にBtoCに挑戦

― スリーウェーブを利用した感想を教えてください。
本当に“最高”でした。先ほどもお話しした通り、物件探しには毎回苦労していますが、スリーウェーブさんはとにかく誠実で、こちらの細かい要望にも柔軟に対応してくれます。スピード感があり、レスポンスもすこぶる早い。今回の移転に関しても、営業担当者さんの的確な調整力がなければ、入居には至らなかったと思います。
― スリーウェーブで今後オフィス移転を検討しようと考えている方に向けてメッセージをお願いします。
先ほども申し上げた通り、不動産は難しいですから、やはり誰と話して何を決めるのかが一番重要です。その点、スリーウェーブさんなら間違いありません。実は以前、取材をしていただいた株式会社シンテックの副社長は私の後輩なんです。彼が東京に進出する際にスリーウェーブさんを紹介したところ、「本当にいい物件を紹介してもらった」と大変喜んでいました。
― 今後の展望をお聞かせください。
アスベストはいずれはなくなります。将来を見据えて、今後はBtoCにも本格的に取り組んでいきたいと考えています。百裂エナジーはその第一歩。豊富なアイデアと柔軟性を武器に、さらなる挑戦をつづけてまいります。
まとめ
同社のクリエイティブアドバイザーである一法師拓門氏は、Appleから日本のZ世代デザイナーとして初選出された、才能あふれるクリエイター。行く先々で仲間をつくり、次々と新たなチャレンジに挑んでいく櫻井社長の姿は、まるでRPGの主人公のよう。人を巻き込み、惹きつける力。
そして「この人ならきっと何か面白いことをしてくれる」と思わせる期待感。そんな魅力をすべて兼ね備えているからこそ、多くのご縁が生まれ、それが自然と事業にもつながっていくのだと感じました。